小噺 (1)
開拓時代の西部。
政敵同士が、ぬかるんだ道に渡された板切れの上で、鉢合わせした。
「君のような小物は譲るのが当然だ」と片方が言うと、
「私は、小物にはいつも譲っとりますよ」ともう片方が応えて泥濘に下りた。
小噺 (2)
議会の答弁。政敵に対して。
「彼はクソの始末も満足に出来ない無能で・・・」
猛抗議。
「お詫びして訂正いたします、彼は今申し上げたことにうってつけの人材であります」
小噺 (3)
酒場で。
傷だらけの男が転がり込んできた。
知り合いが訳を聞くと、殴り合いの喧嘩。
「で、そのヘナチョコ野郎はどうした?」
「頼むよ」男が帽子を取りながら応える。
「故人には敬意を払ってくれ」